「大衆文化は肥大化し、広がり、厚みを増して、いまや誰もが気づく唯一の文化になってしまった」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Popular culture has become engorged, broadening and thickening until it’s the only culture anyone notices.”

日本語訳

「大衆文化は肥大化し、広がり、厚みを増して、いまや誰もが気づく唯一の文化になってしまった」

解説

この名言は、現代における大衆文化の圧倒的な存在感と、それによる他の文化領域の隠蔽や衰退を、P・J・オロークが批判的に捉えたものである。「engorged(膨れ上がった)」という語の生々しいニュアンスが、大衆文化が本来の枠組みを超えて過剰に拡大してしまった様子を印象づけている。

「broadening and thickening(広がりと厚みを増す)」という表現は、大衆文化が単なる娯楽を超えて、政治、教育、報道、芸術などのあらゆる分野に浸透し、独自の重みを持ち始めていることを意味している。そして「the only culture anyone notices(誰もが気づく唯一の文化)」という結論には、他の文化――クラシック音楽、文学、高尚な思想、地域の伝統など――が大衆文化の影に隠れて見えなくなってしまったという皮肉が込められている。

この名言は、文化の均質化と娯楽中心主義への警鐘であり、「見えるもの=価値あるもの」という現代の浅薄な感覚に対する批判でもある。かつて文化は階層的・多層的であったが、今や商業主義とメディアの影響で、「売れる」「目立つ」文化だけが生き残る状況にあるという懸念を鋭く表現している。

オロークのこの一言は、文化の質的多様性が量的な過剰によって圧殺されているという現代の風景を、短くも鋭く描き出した警句である。

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