「自分の身体や道徳的な状態について考え始めると、たいてい自分が病んでいることに気づくものだ」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“If you start to think of your physical and moral condition, you usually find that you are sick.”
日本語訳
「自分の身体や道徳的な状態について考え始めると、たいてい自分が病んでいることに気づくものだ」
解説
この名言は、人間が自己の状態に過剰に意識を向けると、不安や不調に気づき、それを増幅させてしまうという心理的メカニズムを鋭く指摘している。ゲーテはここで、自己観察が過度になると、健康や道徳の自然なバランスを崩してしまうという逆説的な真実を語っている。つまり、過剰な内省や自己診断は、しばしば実際の不調を引き起こす、あるいは強調してしまうというのである。
ゲーテは、人間の精神と身体、理性と感情の調和を重んじる思想家であり、自然と調和した生き方を理想とした。彼にとって、「生きる」とは外に向かって関わり、創造し、行動することであり、内面に閉じこもって絶えず自分を観察することは、むしろ不健康な状態の兆候であった。この名言は、そうした彼の「自然で開かれた生の哲学」を端的に示している。
現代においても、健康意識や自己啓発が過剰になると、「不調の探求」に陥り、心身にかえってストレスを与えることがある。ゲーテのこの言葉は、時に「考えすぎず、自然に生きる」ことの大切さを思い出させてくれる。彼は、本当に健全な人間とは、自分の健康や道徳を常に気に病む者ではなく、それらが無理なく日常の中に息づいている者であると示しているのである。
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