「あなたがたが愛してくれる者だけを愛したところで、何の報いがあるだろうか。それは取税人でさえも同じことをしているのではないか」
- 紀元前6年から紀元前4年頃~紀元後30年頃もしくは33年頃
- ユダヤ(現在のイスラエル・パレスチナ)出身
- 宗教指導者、伝道者
- キリスト教の創始者であり、世界中の宗教と文化に大きな影響を与えた
英文
“For if you love those who love you, what reward have you? Do not even the tax collectors do the same?”
日本語訳
「あなたがたが愛してくれる者だけを愛したところで、何の報いがあるだろうか。それは取税人でさえも同じことをしているのではないか」
解説
この言葉は、真の愛とは条件や見返りを求めず、敵対する者や自分に敵意を抱く者にも向けられるべきであるという教えである。イエス・キリストは、愛が無条件であり、すべての人に等しく与えられるべきものであることを強調している。ここで「取税人」という表現が使われているのは、当時の取税人がしばしば人々に疎まれていた職業であったことに由来している。イエスは、人々が誰にでも愛を示せるようになることで、単なる友愛を超えた真の愛が実現すると説いたのである。人間関係が多くの条件に基づきがちな中で、無償の愛を示すことは、信仰や道徳においても高い価値を持つとされている。
現代においても、この教えは個人や社会にとって大きな意義を持つ。日常生活では、自分に親切な人には優しくしやすく、関わりにくい人や異なる価値観を持つ人には距離を置きがちである。しかし、この教えは、そのような選別的な愛を超えて、他者に対して公平な愛情と尊重を持つことの大切さを伝えている。たとえば、職場や学校で他人に親切にするのは、誰でも同じ価値観や態度を持つ人に対しては容易であるが、苦手な相手や異なる意見を持つ人に対しても思いやりを持つことで、周囲に良い影響を与え、平和な環境が生まれる。このように、自分の意志で誰に対しても愛を持つことが、人間関係における成熟と成長をもたらす。
さらに、この教えは、無償の愛が人間の真の幸福につながることを示している。たとえば、他人を条件なく受け入れ、理解しようとする姿勢を持つと、家庭内や友人関係においても穏やかで健やかな関係が育まれる。特に、意見の異なる相手や、対立が生じやすい状況においてもこの教えを実践することで、自分自身の心も広がり、他者への理解が深まる。「愛してくれる者だけを愛する」という自己中心的な態度を超えて、すべての人に思いやりを持って接することは、人生を豊かにし、より良い社会の基盤を築くための重要な要素となっているのである。
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