「南部はとても美しいが、その美しさは人を悲しくさせる。なぜなら、ここで人々が生きてきた、そして今も生きている生活は、あまりに醜いからだ。」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”The South is very beautiful but its beauty makes one sad because the lives that people live here, and have lived here, are so ugly.”

日本語訳

「南部はとても美しいが、その美しさは人を悲しくさせる。なぜなら、ここで人々が生きてきた、そして今も生きている生活は、あまりに醜いからだ。」

解説

この言葉でボールドウィンは、アメリカ南部の自然の美しさと、その土地で営まれてきた人間の歴史の醜悪さとの矛盾を突きつけている。南部は豊かな自然や文化を有しているが、その背後には奴隷制度、人種差別、抑圧という歴史が存在していた。したがって、景色の美しさはそのまま過去と現在の苦痛を際立たせる要素となる。

ボールドウィンの視点は、単なる風景描写にとどまらず、社会的不正義が人間の生の価値を損なっている現実を映し出している。美しい自然の中に暮らしながらも、人間同士の関係は差別と暴力によって歪められてきた。そのため、南部の美は人間存在の悲劇を強調する「悲しい美」として認識される。

現代においても、この洞察は普遍性を持つ。どれほど環境や文化が魅力的であっても、そこで営まれる人間の生活が不公正と苦痛に満ちていれば、その美は純粋には享受できない。真の美は人間の尊厳と調和してこそ輝くということを、ボールドウィンはこの言葉で示している。

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