「しかし道徳と権力の関係はきわめて微妙である。なぜなら最終的に、道徳を欠いた権力はもはや権力ではないからだ」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”But the relationship of morality and power is a very subtle one. Because ultimately power without morality is no longer power.”

日本語訳

「しかし道徳と権力の関係はきわめて微妙である。なぜなら最終的に、道徳を欠いた権力はもはや権力ではないからだ」

解説

この言葉は、権力の正当性と道徳の不可分性を示している。権力は単なる力ではなく、道徳的な基盤を持つときにのみ真に正統性を持つ。道徳を欠いた権力は暴力や支配に堕し、社会を維持する持続的な力にはなり得ない。したがって権力と道徳は切り離せず、その関係はきわめて繊細なのである。

ボールドウィンがこの洞察を語った背景には、アメリカ社会の制度的人種差別と政治権力の濫用がある。白人支配の権力は形式的には強大であったが、道徳的正当性を欠いていたために常に批判と抵抗にさらされていた。彼は、権力が本質的に道徳を必要とすることを見抜き、社会の変革においてその基盤を問うたのである。

現代においても、この言葉は鋭い意味を持つ。権威主義的な体制や不正義な権力は短期的には強さを誇っても、道徳的基盤を欠けば必ず揺らぐ。道徳なき権力は力ではなく暴力に過ぎないというこの警句は、権力の本質を考える上で普遍的な指針となる。

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