「愛せる者は憎むこともできる。その他の者には無関心である」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“Those whom we can love, we can hate; to others we are indifferent.”

日本語訳

「愛せる者は憎むこともできる。その他の者には無関心である」

解説

この言葉は、愛と憎しみが根源において同じ感情の深さから生じること、そしてそのどちらもが無関心とは対極にあることを鋭く示している。ソローはここで、私たちが強い感情を抱くのは、心を深く通わせ得る関係の中に限られると語っている。つまり、誰かを愛せるということは、その人が私たちにとって感情を揺さぶる力を持った存在であるということであり、そのぶん憎しみに転じる可能性も秘めているのだ。

この名言には、ソローの人間関係に対する誠実で観察的な視点が表れている。無関心こそが真の距離であり、愛も憎しみもその人に関心を抱いている証であるという考えは、感情の表裏一体性を明快に言い表している。特に「愛と憎しみは紙一重」と言われるように、どちらも人間関係の中での親密さや期待の裏返しとして生まれる感情であることを、ソローは哲学的に捉えている。

現代においてもこの名言は、感情の動きに対する自省と、無関心こそが最も危うい状態であることへの気づきを与える。例えば、人間関係において争いや感情の起伏を恐れるあまり、他者との距離を保ちすぎることが「生きた関係性」を損なう危険をはらむ。ソローのこの一言は、関係性における感情の振れ幅そのものが、心が真に動いている証拠であることを静かに教える名言である。

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