「復讐はある種の野蛮な正義であり、人の性質がそれに走りがちであればあるほど、法によって取り除かれるべきである」
- 1561年1月22日~1626年4月9日
- イングランド出身
- 哲学者、神学者、法学者、政治家、貴族
- 近代科学の基礎を築く「帰納法」を提唱し、またイギリス経験主義の祖として後世に影響を与えた
英文
“Revenge is a kind of wild justice, which the more a man’s nature runs to, the more ought law to weed it out.”
日本語訳
「復讐はある種の野蛮な正義であり、人の性質がそれに走りがちであればあるほど、法によって取り除かれるべきである」
解説
フランシス・ベーコンのこの言葉は、復讐の本質と、法の役割についての深い洞察を示している。彼は復讐を「野蛮な正義」と呼び、復讐が人間の本能に根ざしているものであるがゆえに、それが過剰にならないよう法によって抑制されるべきだと説いている。復讐心は人間に自然に備わっているものだが、社会における秩序や安定を保つためには、それを理性と法の力で制御する必要があるという考えである。
復讐は、個人の視点からは「正義を回復する」行為と捉えられることがある。しかし、復讐には感情が伴うため、しばしば過激で制御が難しい。これがベーコンの言う「野蛮さ」につながる。復讐は一度始まると終わりがなくなりやすく、個人間の対立がさらなる憎悪や暴力の連鎖を生むこともある。このため、ベーコンは人間の本能的な復讐心に対して、法の役割を強調している。法は、個人が自らの手で「正義」を執行するのではなく、秩序と公平に基づいた解決策を提供する役割を担っている。
現代社会においても、法の役割はベーコンの言葉を反映した形で重要視されている。現代の法制度は、被害者の感情に対する配慮とともに、感情に流されず公正な判断を下すためのものである。法による裁きがなければ、復讐による報復の連鎖が社会に混乱をもたらしかねない。例えば、犯罪や争いの被害者が加害者に復讐を試みることで、新たな犯罪や問題が発生することがあり、そのために法は復讐心を抑え、冷静かつ公正に問題を解決するシステムを提供している。
ベーコンの言葉は、法の重要性と理性の価値について深い示唆を与えている。復讐の感情に流されず、法に委ねることで、より平和で安定した社会を築くことができると彼は考えたのである。
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