「私の考えは、全世界が知っている通り、資本主義体制は今やアメリカにとっても世界にとっても機能しておらず、しかも危機から危機へと、しかもそのたびにより深刻な危機へと追いやっているというものだ」
- 1926年8月13日～2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“My idea, as the whole world knows, is that the capitalist system now doesn’t work either for the United States or the world, driving it from crisis to crisis, which are each time more serious.”
日本語訳
「私の考えは、全世界が知っている通り、資本主義体制は今やアメリカにとっても世界にとっても機能しておらず、しかも危機から危機へと、しかもそのたびにより深刻な危機へと追いやっているというものだ」
解説
この言葉は、資本主義の構造的な不安定さと、それが世界に与える連鎖的影響への強い批判を示している。フィデル・カストロは長年にわたり、アメリカ主導の経済体制を「搾取的」「危機依存的」として批判し続けてきた。ここでは、資本主義はすでに自国（アメリカ）さえ救えず、世界全体を危機の連鎖に巻き込む体制となっているという主張を展開している。
この発言が意味するのは、リーマン・ショックや世界的な不平等拡大、気候変動、債務危機など、資本主義が自動的に安定や繁栄を生むという前提が崩れているという認識である。特に、危機のたびに国家が介入し、市場原理だけでは解決できない矛盾が露呈している現状は、カストロの批判を補強する歴史的事実ともいえる。
現代においてもこの言葉は、資本主義の未来に対する懐疑や代替経済モデルの模索が進むなかで再評価される意義を持つ。たとえば、ベーシックインカムや脱成長主義、地域経済の再生といった議論は、まさに「危機から危機へ」の構造に対する応答である。カストロのこの言葉は、資本主義の限界と、それに代わる新しい世界秩序の必要性を示唆する視座となっている。
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