「憎むことはたやすく、愛することはむずかしい。これがこの世の理である。すべての善きものは得がたく、悪しきものは容易に手に入る」

- 紀元前551年~紀元前479年
- 中国(春秋時代の魯)出身
- 思想家・教育者・政治家
英文
“It is easy to hate and it is difficult to love. This is how the whole scheme of things works. All good things are difficult to achieve; and bad things are very easy to get.”
日本語訳
「憎むことはたやすく、愛することはむずかしい。これがこの世の理である。すべての善きものは得がたく、悪しきものは容易に手に入る」
解説
この言葉は、善を行い、徳を育てることは本質的に困難であり、堕落や悪に流されることは驚くほど容易であるという人生の現実を示している。孔子は、人間の心には怠惰や自己中心的な傾向が備わっており、それに抗してこそ徳が養われると考えていた。憎しみや嫉妬、欲望といった感情は自然に湧きやすいが、愛や誠実さ、思いやりといった徳は意志と修養を要する。
「この世の仕組みがそうなっている」とは、人間の精神的成長が、試練と克服を通じてなされるべき構造にあることを意味する。だからこそ、真の価値あるもの――友情、信頼、知恵、仁愛など――は簡単には得られず、時間と努力を要する。安易に手に入るものは、それだけで注意を要し、その多くは徳を損なう原因にもなりうる。
現代においても、即時的な満足や利便性が優先されがちな社会の中で、長期的な価値や本質的な善を目指すには意識的な努力が必要である。孔子のこの言葉は、人生の本当に価値あるものほど困難であり、それゆえに尊いのだという、努力と節度への静かな励ましを与えてくれる。
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