「イラクとアフガニスタンでの作戦、そして対テロ戦争は、軍の変革の歩みを遅らせ、防衛と安定化作戦への準備不足を露呈させた。この政権は軍を過度に拡張してしまった」
1961年8月4日～
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“Operations in Iraq and Afghanistan and the war on terrorism have reduced the pace of military transformation and have revealed our lack of preparation for defensive and stability operations. This Administration has overextended our military.”
日本語訳
「イラクとアフガニスタンでの作戦、そして対テロ戦争は、軍の変革の歩みを遅らせ、防衛と安定化作戦への準備不足を露呈させた。この政権は軍を過度に拡張してしまった」
解説
この発言は、軍事作戦の長期化と戦略的準備不足への批判を示している。オバマは、イラクとアフガニスタンでの戦争が軍の近代化を妨げ、同時に防衛および安定化任務への備えの不備を明らかにしたと指摘し、当時の政権による軍事力の過剰使用を問題視している。ここには、持続可能で現実的な軍事政策への転換を求める意志が込められている。
この発言の背景には、ブッシュ政権下で進められたイラク戦争とアフガニスタン戦争の長期化による国防力への負担がある。オバマは、これらの戦争によってアメリカ軍が疲弊し、新たな脅威への柔軟な対応能力が低下したことを憂慮し、軍事力の再編と合理的運用の必要性を訴えたのである。
現代においても、限られた資源の中で防衛力をいかに維持・強化するかは重要な課題である。この名言は、軍事的負担を冷静に見直し、過剰な展開を避けながらも現代的な安全保障体制を整えるべきだという普遍的な教訓を力強く示している。
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