「謙遜はすべての他の徳の基礎である。ゆえに、この徳が存在しない魂には、見かけ以外のいかなる徳も存在し得ない」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”Humility is the foundation of all the other virtues hence, in the soul in which this virtue does not exist there cannot be any other virtue except in mere appearance.”
日本語訳
「謙遜はすべての他の徳の基礎である。ゆえに、この徳が存在しない魂には、見かけ以外のいかなる徳も存在し得ない」
解説
この名言は、謙遜こそがあらゆる徳の出発点であり、前提条件であるというアウグスティヌスの倫理思想を表している。彼にとって、誠実さや正義、寛容といった徳も、謙遜の土台がなければ偽りに過ぎない。謙遜は、自己の限界を認め、神の前に低く身を置く姿勢であり、そこから本物の徳が育つのである。
特にアウグスティヌスの時代において、プライド(傲慢)は堕落と罪の源と見なされていた。彼は、天使を悪魔に変えたのも誇りであり、人を聖に近づけるのが謙遜であると考えた。つまり、他の徳が本物であるためには、自己を飾るためではなく、神への服従と愛に根ざしていなければならない。
現代においても、謙虚な姿勢のない善行や正義は、自己顕示や偽善として受け取られやすい。この名言は、どれほど立派に見える行為であっても、根底に謙遜がなければ空虚な偽善にすぎないという警告である。本当の徳とは、自分の小ささを知りながら、他者と神に仕えることを選ぶ精神から生まれる。謙遜は単なる美徳ではなく、すべての徳の「礎石」である。
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