「すべての人間は、それぞれ独自の目的論に従って行動し、苦しむ。そしてそれを理解しない限り、その目的論はまるで運命のような必然性を持ち続ける」

アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アルフレッド・アドラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1870年2月7日~1937年5月28日
  • オーストリア出身
  • 精神科医、心理学者

英文

“Every individual acts and suffers in accordance with his peculiar teleology, which has all the inevitability of fate, so long as he does not understand it.”

日本語訳

「すべての人間は、それぞれ独自の目的論に従って行動し、苦しむ。そしてそれを理解しない限り、その目的論はまるで運命のような必然性を持ち続ける」

解説

この言葉は、アドラー心理学における目的論的世界観(teleology)の核心を表している。アドラーは、人間の行動や感情は過去によって決定されるのではなく、未来に向けての目的に導かれていると考えた。つまり、人は無意識のうちに自らの信念や人生観に基づいた「目的」を持っており、それが行動様式や人生の苦悩の形を形作っているのである。

しかし、もしその目的に気づかずに生きていれば、自分の行動や苦しみはあたかも運命や宿命であるかのように感じられ、そこから抜け出すことは困難になる。たとえば、「自分はどうせ愛されない」という無意識の信念を持つ人は、実際に他者との関係で距離を置いたり、自ら失敗を招くような行動を取り、その結果を運命のように受け入れてしまう。このように、理解されない目的論は、個人の行動を縛る見えない鎖となる

アドラーは、治療や成長の過程とは、まさにこの無自覚な目的を意識化し、それを選び直すことによって、自らの生を再構築することに他ならないと説いた。この名言は、自己理解こそが運命を打ち破り、真の自由への道を開く鍵であるという深い心理的洞察を伝えているのである。

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