「東部戦線の兵士たちは遥かに良く戦っている。西部でやすやすと降伏してしまうのは、あの愚かなジュネーヴ条約のせいだ。捕虜に対する良好な待遇を約束しているからだ。あんな馬鹿げたものは廃止すべきだ」

- 1889年4月20日~1945年4月30日
- オーストリア=ハンガリー帝国出身
- ナチス・ドイツの政治指導者
英文
”The soldiers on the Eastern Front fight far better. The reason they give in so easily in the West is simply the fault of that stupid Geneva convention which promises them good treatment as prisoners. We must scrap the idiotic thing.”
日本語訳
「東部戦線の兵士たちは遥かに良く戦っている。西部でやすやすと降伏してしまうのは、あの愚かなジュネーヴ条約のせいだ。捕虜に対する良好な待遇を約束しているからだ。あんな馬鹿げたものは廃止すべきだ」
解説
この発言は、アドルフ・ヒトラーがジュネーヴ条約――特に捕虜の人道的待遇に関する規定――を否定し、戦場における人道の理念を排除しようとする姿勢を露わにしたものである。彼は、西部戦線(主に英米連合軍との戦い)においてドイツ兵が降伏しやすい理由を、「捕虜として良く扱われる」という希望に求め、それを弱さの原因と断定している。
これに対して、東部戦線(ソ連との戦い)では、ジュネーヴ条約がほとんど適用されず、捕虜が過酷な扱いを受けることが分かっていたために、兵士たちは死に物狂いで戦った。ヒトラーはこの違いを逆手に取り、人道的法規範を「愚か」と断じることで、戦意を高めるためには捕虜になることすら恐怖とすべきだと主張している。
この発言は、国際人道法を敵視し、戦争を「無制限の暴力」として正当化する全体主義的・軍国主義的思想の典型である。現代においても、戦時下の法と人道の尊重が危機にさらされる場面は多いが、このような思想の延長線上には、戦争犯罪や人道に対する罪が待ち受けている。そのため、ジュネーヴ条約のような国際法の重要性と、それを守ることが文明国としての最低限の責務であるという認識は、歴史的教訓として重く受け止めねばならない。
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