「神聖ローマ帝国は、神聖でもなく、ローマ的でもなく、帝国でもない」
- 1694年11月21日~1778年5月30日
- フランス出身
- 哲学者、文学者、歴史家
- 『歴史哲学』、『寛容論』、『哲学辞典』、『哲学書簡』、『オイディプス』、『カンディード』などの多数執筆し、啓蒙思想の先駆者として知られる
英文
“The Holy Roman Empire is neither Holy, nor Roman, nor an Empire.”
日本語訳
「神聖ローマ帝国は、神聖でもなく、ローマ的でもなく、帝国でもない」
解説
ヴォルテールは、「神聖ローマ帝国」という名称がその実態をまったく反映していないことを皮肉交じりに指摘している。「神聖ローマ帝国」という名称は、実際にはその実態を誤解させるものであり、当時の「神聖」な宗教権威、「ローマ」帝国の正統性、「帝国」としての統一的な支配力のいずれも欠けていた。この名言は、形式的な名称と実際の中身がいかにかけ離れていたかを端的に表しており、18世紀の啓蒙主義思想における合理主義や批判的思考を反映している。
歴史的に見ても、この言葉は「神聖ローマ帝国」が持つ複雑な構造や統治の実態を簡潔に表現している。神聖ローマ帝国は、中央集権化されていたわけではなく、現在のドイツや中欧の多くの領邦国家が緩やかに結びついている状態だった。また、ローマ帝国の正統な後継という立場を主張しながらも、実際にはローマからの直接的な影響はほとんどなく、宗教的にはカトリック教会と緊張関係にあった時期も多かった。この言葉は、歴史的な事実に基づいて、名前と実態の違いを風刺している。
この名言は、名称や権威が実態を伴っていないことへの批判的な視点を教えている。形式的な名前や称号に惑わされず、実態を見極めることの重要性を説いている。ヴォルテールの言葉は、権威や権力を持つものに対しても冷静に批判的な視点を持つことが必要であるという啓蒙思想を表しており、現代においても、表面上の名称や肩書に対する疑問を持つことの重要性を示している。
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