「道徳とは、個人に内在する群れの本能である」

フリードリヒ・ニーチェ
フリードリヒ・ニーチェの名言
  • 1844年10月15日~1900年8月25日
  • ドイツ出身
  • 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
  • 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた

英文

“Morality is the herd-instinct in the individual.”

日本語訳

「道徳とは、個人に内在する群れの本能である」

解説

ニーチェは、道徳を「群れの本能」と捉え、個人の内面に存在する集団的な価値観や行動基準と関連付けている。彼の見解によれば、道徳とは個人が独自に構築した価値観ではなく、集団の一員としての安定や調和を保つために形成される規範である。つまり、道徳は個人にとっての自主的な信念というよりも、集団がその成員に求める共通の行動や考え方であり、他者と一致した価値観を持つことによって安心感や帰属意識を得るためのものである。この「群れの本能」は、社会や共同体に順応するための無意識的な仕組みとして個人に内在していると考えられる。

この視点は、個人の意志と集団への同調の関係についての深い洞察を提供している。たとえば、人は多くの場面で、自分の意思とは異なる価値観を持つことに不安を感じ、集団と調和した価値観を持つことで安心感を得ることがある。こうした同調は、道徳や倫理として個人の中に根付き、社会や他者との関係を円滑にする役割を果たす。しかし、ニーチェは、この道徳が無意識的に形成される「群れの本能」によるものであるため、個人が真に自主的な価値観を持っているとは限らないと批判的に見ている。

ニーチェのこの言葉は、道徳が本来、個人の内面的な意思や信念ではなく、社会的な同調の産物であることを教えている。個人の中にある道徳観は、他者との関係や集団への帰属を重視する本能から生まれているため、しばしば個人の自由や独自の価値観を制限する側面があるとニーチェは指摘している。彼は、個人が本当の意味で自主的な道を歩むには、この「群れの本能」を超え、自らの独立した価値観を築くことが必要であると考えている。

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