「情け深い者は奴隷であっても自由であり、悪しき者は王であっても奴隷である」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”He that is kind is free, though he is a slave; he that is evil is a slave, though he be a king.”

日本語訳

「情け深い者は奴隷であっても自由であり、悪しき者は王であっても奴隷である」

解説

この言葉は、真の自由とは外的な地位や権力によって得られるものではなく、内面的な徳に由来するという思想を表している。アウグスティヌスにとって、自由とは魂の状態であり、善をなす意志をもつ者はどのような境遇にあっても自由である。たとえ身体が束縛されていても、精神が高潔であれば、その人は神の目において自由な存在である。

逆に、悪徳に支配されている者は、たとえ王の地位にあろうと自己の欲望の奴隷であり、真の意味での自由を持たない。ここでは道徳的自由と内面の統御が、外的な自由や権力よりも価値があることが示されている。

この考え方は現代においても有効であり、たとえば高い社会的地位をもちながらも利己心や憎悪にとらわれている人間は、内なる自由を失った存在と見なされる。一方で、貧困や抑圧の中でも隣人に親切であろうとする人は、精神の自由を保っている。アウグスティヌスのこの言葉は、倫理的な自由と人間の尊厳の本質を見極める視点を与えてくれる。

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