「五歳か六歳のときに、ゲイリー・クーパーの世界にあって自分がインディアンの側なのだと知ることは、大きな衝撃である」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”It is a great shock at the age of five or six to find that in a world of Gary Coopers you are the Indian.”

日本語訳

「五歳か六歳のときに、ゲイリー・クーパーの世界にあって自分がインディアンの側なのだと知ることは、大きな衝撃である」

解説

この言葉は、幼少期に直面する人種的アイデンティティの衝撃を描いている。ハリウッド映画の英雄であるゲイリー・クーパーは白人の象徴であり、観客の多くは自らを彼に重ねる。しかし黒人や先住民の子どもにとって、自分はスクリーンの英雄ではなく、しばしば悪役や敗者として描かれる「インディアン」の側に置かれていることに気づくのである。

ボールドウィンにとって、この経験はアメリカ社会における文化的再生産の不平等を意味した。映画や物語は白人を中心に構築され、非白人は周縁化される。そのような映像文化の中で育つことは、自己否定や疎外感を幼い頃から植え付けるものであった。彼はこの体験を通じて、文化と人種の結びつきを鋭く批判した。

現代においても、この洞察は普遍的である。メディアの表象において、誰が英雄で誰が周縁化されるのかは、人々の自己認識に大きな影響を与える。物語の中に自分の姿を見いだせないことの衝撃は、今日もなお多様性と表象の問題として残り続けている。

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