「戦の神は敵の側についた」

- 1889年4月20日~1945年4月30日
- オーストリア=ハンガリー帝国出身
- ナチス・ドイツの政治指導者
英文
”The god of war has gone over to the other side.”
日本語訳
「戦の神は敵の側についた」
解説
この発言は、アドルフ・ヒトラーが第二次世界大戦末期、ドイツの敗北が濃厚となる中で漏らしたとされる悲痛な言葉であり、戦局の逆転と失望を象徴するものとして知られる。ここで言う「戦の神(the god of war)」とは、古代ローマ神話のマルスやギリシャ神話のアレスのように、戦争に勝利をもたらす象徴的な力を指す。ヒトラーはこの神がもはやドイツではなく、連合国の側に味方していると嘆いている。
この発言の背景には、連合軍によるノルマンディー上陸、ソ連軍の東からの侵攻、空爆によるドイツ本土の壊滅的被害など、総合的な戦略的敗北があった。ヒトラーの戦争指導が迷走し、かつての「電撃戦(Blitzkrieg)」の栄光が完全に崩壊した時期に発せられたこの言葉は、指導者としての神格性の崩壊と、敗北の運命を認めざるを得なかった瞬間を象徴している。
この発言は、戦争における運命論的な思考と、権力者の自己神話の崩壊が交錯する象徴的な表現である。戦争を「神の意志」や「宿命」として語ることは、しばしば責任の転嫁や現実逃避の手段となる。現代においても、戦争や災厄を超自然的存在のせいにする思考は、冷静な判断と責任ある行動を妨げる要因となる。この一言は、歴史における権力の終焉の瞬間に放たれた、敗者の孤独な告白として記憶されるべきである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「ヒトラー」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い