「もし君の本に記されていたロシアの戦車戦力の数字が実際に正しかったと知っていたなら、私は――たぶん――この戦争を始めなかっただろう」

アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アドルフ・ヒトラーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1889年4月20日~1945年4月30日
  • オーストリア=ハンガリー帝国出身
  • ナチス・ドイツの政治指導者

英文

”If I had known that the figures for Russian tank strength which you gave in your book were in fact the true ones, I would not—I believe—ever have started this war.”

日本語訳

「もし君の本に記されていたロシアの戦車戦力の数字が実際に正しかったと知っていたなら、私は――たぶん――この戦争を始めなかっただろう」

解説

この発言は、1941年8月4日、アドルフ・ヒトラーが装甲戦の理論家として知られるハインツ・グデーリアン将軍に語ったとされる言葉であり、グデーリアン自身の回想録『電撃戦――グデーリアン回想録(Panzer Leader)』(1952年)に記録されている。文脈は、バルバロッサ作戦(ソ連侵攻)が開始された直後、ドイツ軍が予想を超えるソ連の装備と抵抗に直面していた時期である。

ヒトラーはここで、自らがソ連の軍事力、特にT-34戦車やKV戦車の配備数と性能を過小評価していたことを暗に認めている。グデーリアンは以前からソ連の機甲部隊の脅威を指摘しており、著書や提言の中で警告を発していたが、ヒトラーはその情報を軽視していた。この発言は、独裁者が不都合な事実や専門家の進言を無視することで重大な戦略的誤算を犯し、国家を破滅に導いた例として象徴的である。

「たぶん(I believe)」という挿入句は、ヒトラー自身がなおも責任を曖昧にし、後知恵的に発言していることを示している。これは、失敗を認めながらも、全責任を回避しようとする独裁者特有の心理とも読める。この発言は、現代においても、リーダーが専門家の警告を軽視したり、都合のよい情報だけを信じたりすることで、大規模な政策的失敗が引き起こされるという教訓を与えている透明性と合議制、批判的思考こそが、独裁と破滅を防ぐ鍵である

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