「チェンバレン氏は、事実上、世界の面前で私の顔に唾を吐きかけ、和平の話を持ち出すことさえ拒んだ…こうして、戦争で利益を得る大資本家の一団が、戦争の継続を叫んだのだ。そしてその戦争の継続は、今、始まった」

- 1889年4月20日~1945年4月30日
- オーストリア=ハンガリー帝国出身
- ナチス・ドイツの政治指導者
英文
”Mr. Chamberlain virtually spat in my face before the world public and declined to even talk of peace… And it was thus that the big capitalist clique of war profiteers cried for a continuation of the war. And this continuation has now begun.”
日本語訳
「チェンバレン氏は、事実上、世界の面前で私の顔に唾を吐きかけ、和平の話を持ち出すことさえ拒んだ…こうして、戦争で利益を得る大資本家の一団が、戦争の継続を叫んだのだ。そしてその戦争の継続は、今、始まった」
解説
この発言は、アドルフ・ヒトラーが第二次世界大戦の勃発を正当化し、敵側に責任を転嫁するプロパガンダ的構文で語ったものである。ここで名指しされている「チェンバレン」とは、当時のイギリス首相ネヴィル・チェンバレンを指し、彼の対独強硬姿勢と宣戦布告を非難している。ヒトラーは、自らが和平を望んでいたにもかかわらず、イギリス側がそれを拒否し、戦争を選んだとする虚構を提示している。
この言説の中で重要なのは、「big capitalist clique of war profiteers(戦争成金の大資本家の一団)」という表現である。ヒトラーはここで、戦争の背後に「ユダヤ資本」や国際的な金融勢力がいるという、反ユダヤ的陰謀論と経済的敵意を結びつけている。このような敵構図は、ナチスのプロパガンダにおいて頻繁に使われ、戦争を正義の闘争へと変貌させる装置となった。
この発言が現代に示す教訓は、戦争の責任を一方的に外部へ押し付け、政治的失敗を敵の陰謀や拒絶に置き換えることで、暴力を正当化しようとする危険な論理である。歴史の中で繰り返されてきたこうした操作に対しては、事実検証と批判的思考を持ち続けることが、平和と真実を守る上で不可欠である。
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