「人の行為は、その人自身にはあまりに強大である。行動した人で、その行為の犠牲者や奴隷にならなかった者を私に示してみよ」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“Men’s actions are too strong for them. Show me a man who has acted, and who has not been the victim and slave of his action.”

日本語訳

「人の行為は、その人自身にはあまりに強大である。行動した人で、その行為の犠牲者や奴隷にならなかった者を私に示してみよ」

解説

この名言は、人間の行為がしばしばその意図を超えて影響を持ち、当人自身を拘束する結果になるという皮肉な真理を描き出している。エマーソンは、行動とは自己実現の手段でありながら、いったん外に放たれた行為は独立して作用し、しばしばその人自身を縛る鎖となると指摘している。つまり、人は行為によって自己を形づくるが、同時にその行為に支配される危険をも孕んでいる。

この見解は、エマーソンの個人主義的思想の中でも、行動と責任、自由と制約の関係に深く切り込むものである。19世紀アメリカの自己決定の思想において、行動は称賛されるべきものとされたが、エマーソンはその背後にある行為の持つ自律性と不可逆性を見抜いていた。人は善意で行動したとしても、その結果が思わぬ波紋を生み、自らをその影響の中に閉じ込めてしまうことがある。

現代においてもこの言葉は深く響く。発言や決断、創造や表現がデジタルな記録として半永久的に残る社会において、人々はその過去の行為の「奴隷」となるリスクを常に抱えている。また、成功した行為でさえ、それが期待や役割を固定化し、自由を奪う要因となることもある。この名言は、行為の力を甘く見ず、その後の自己との関係においても誠実であることの重要性を我々に警告している。

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