「幸福とは転がるボールのようなものであり、私たちはその行く先を追いかけ、止まれば足でまた転がしてしまう」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“Happiness is a ball after which we run wherever it rolls, and we push it with our feet when it stops.”
日本語訳
「幸福とは転がるボールのようなものであり、私たちはその行く先を追いかけ、止まれば足でまた転がしてしまう」
解説
この名言は、人間の幸福に対する欲求の矛盾と飽くなき追求の姿勢を風刺的に描いている。ゲーテは、幸福が手に入りそうなときには必死で追いかけ、いざ手に入るとまた次を求めて蹴り出してしまうという、人間の本質的な落ち着きのなさと満足の難しさを見抜いていた。この言葉には、幸福を外的な目標と見なす限り、それは永遠に安定せず、自らの手で逃してしまうという皮肉が込められている。
「ボール」は、自由で予測不能に動き回る幸福の象徴であり、主体的に幸福を追いかけているつもりでも、実は常にそれに振り回されているという構造がある。また、ボールが止まったときに「足で押す」行為は、静的な満足に耐えられず、無意識に次の刺激や変化を求めてしまう人間の心理を表している。ゲーテはここで、本当の幸福とは追いかけるものではなく、立ち止まって味わうべきものだという含意を伝えているとも解釈できる。
現代社会においても、この名言は大きな意義を持つ。常に目標を追い、成功や快楽を「ボール」として転がし続ける生活の中で、満足という感覚そのものが忘れ去られがちである。この言葉は、幸福とは対象ではなく状態であり、外部に追い求めるものではなく、今この瞬間を受け入れ、静かに味わう力にあるという、深い人生の教訓を伝えている。
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