「社会的な闘争は何千年にもわたり続いてきた。それは、人間が生活の基本的欲求を満たすために、戦争という手段を用いて余剰生産物を手に入れることができた時から始まったのだ」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Social struggles have been taking place throughout millennia, since human beings, by resorting to wars, were able to take hold of a surplus production to satisfy the essential needs of life.”
日本語訳
「社会的な闘争は何千年にもわたり続いてきた。それは、人間が生活の基本的欲求を満たすために、戦争という手段を用いて余剰生産物を手に入れることができた時から始まったのだ」
解説
この言葉は、人類の歴史における社会闘争の起源と、それが経済的要因に深く根ざしているという歴史観を示している。フィデル・カストロは、マルクス主義的な視点から社会の変化を捉え、階級闘争や資源の分配を歴史の中心的動力と見なしていた。ここでは、戦争が単なる政治的対立ではなく、余剰生産物――すなわち富――をめぐる争奪戦として機能してきたという点が強調されている。
人類が生産力を向上させ、必要以上の食料や物資を生み出せるようになったとき、その分配をめぐる対立が生まれ、支配と被支配、搾取と抵抗の構造が形成された。この文脈において戦争は、単なる暴力行為ではなく、経済的欲求の延長として理解される。カストロはこの視点をもとに、現代の帝国主義的戦争や経済制裁もまた、新たな形の資源略奪と支配であると位置づけていた。
現代においても、この言葉は戦争と経済、社会闘争の関係を読み解く鍵となる。資源、労働力、技術といった現代の「余剰」をめぐる争いは、依然としてグローバルな不平等を生み出している。カストロのこの発言は、歴史を単なる出来事の積み重ねではなく、構造的な闘争として捉える視座を提供し、人類の未来を考える上での根本的な問いを投げかけている。
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