「剣術や槍術においても、実践ばかりを重視すれば理論の探究がおろそかになり、また理論ばかりを重視すれば実地の鍛錬が疎かになるものである」

- 1830年9月20日~1859年11月21日
- 日本(江戸時代・長州藩)出身
- 思想家、教育者、尊王攘夷運動家
- 松下村塾を開いて多くの志士を育成し、明治維新の精神的指導者として知られる。積極的な海外進出と国家改革を訴え、幕末日本の近代化に大きな影響を与えた。志半ばで処刑されるも、その思想は後世に受け継がれた。
原文
「剣槍とも業向を主とし候へば理論の詮議薄く相成り、又理論を主とし候へば業向の修業疎く相成り候」
現代語訳
「剣術や槍術においても、実践ばかりを重視すれば理論の探究がおろそかになり、また理論ばかりを重視すれば実地の鍛錬が疎かになるものである」
解説
この言葉は、吉田松陰が実践と理論の両立の重要性を説いたものである。剣や槍という武芸の世界であっても、実技だけに偏れば理論的な理解が浅くなり、理論だけに偏れば技の熟練が不足すると指摘している。これは単なる武道論にとどまらず、学問や行動全般に通じる普遍的な戒めであり、松陰のバランスを重んじる姿勢が表れている。
現代においても、この教えはきわめて有効である。例えば、ビジネスや技術の分野においても、理論ばかりに頼れば現場感覚を失い、逆に現場だけに頼れば体系的な理解や応用力を欠く危険がある。松陰は、理論と実践を互いに補い合うことによって初めて真の力量が養われると教えているのである。
例えば、スポーツ選手が戦術理論ばかりを学んでも、実際の体の動きが伴わなければ試合では通用しない。一方で、練習だけに明け暮れて理論を無視すれば、効率的な成長や戦術的対応ができない。吉田松陰は、理論と実地の双方を磨き上げることが、あらゆる道を究めるための正しい姿勢であると力強く示しているのである。
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