「砲を撃ったり、人を斬ったりと、それは恐ろしい義理があるからこそ、一人残った親を家に置き、美しい妻を捨て、生まれたばかりの醜い赤子にも夫の顔を見せずに出陣するのは、まことに勇ましいことである」

- 1836年1月3日~1867年12月10日
- 日本(江戸時代・土佐藩)出身
- 志士、政治活動家、実業家
- 幕末の動乱期において薩長同盟の成立に尽力し、明治維新の礎を築いた立役者の一人。海援隊を組織し、近代的な貿易と海運を推進するなど、日本の近代化に大きな影響を与えた。
原文
「砲をうったり、人きりたり、それはそれはおそろしい義理というものあればこそ、ひとりの親をうちに置き、玉のよふなる妻ふりすて、蟇のよふなる赤子のできたに、夫さへ見ずと置けいとは、いさましかりける次第なり」
現代語訳
「砲を撃ったり、人を斬ったりと、それは恐ろしい義理があるからこそ、一人残った親を家に置き、美しい妻を捨て、生まれたばかりの醜い赤子にも夫の顔を見せずに出陣するのは、まことに勇ましいことである」
解説
この言葉は、義理と覚悟が人を非情な行動へと駆り立てることを示している。坂本龍馬が活躍した幕末は、忠義と志を重んじる武士道精神が支配しており、国家や主君への忠誠が個人の情愛よりも優先された時代であった。家族を顧みることすら許されない厳しい現実を、龍馬は冷静に、しかしどこか皮肉な調子で語っている。
現代においても、国家や社会に対する責任感から、家族を置いて危険な任務に就く人々が存在する。例えば、災害時に家族を後にして救助に向かう消防士や、海外派遣される自衛官などが挙げられる。彼らの行動にも、この言葉に通じる義務感と覚悟が宿っているといえよう。
この名言は、義理や大義に生きる人間の壮絶な選択を称えつつ、人間の情愛をも断ち切らなければならない厳しさを鋭く描いている。坂本龍馬自身もまた、家族との平穏な暮らしを犠牲にして、時代を変えるために奔走した人物であり、この言葉には彼自身の実感が込められている。
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