「戦争において重要な出来事は、些細な原因から生じる」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“In war, events of importance are the result of trivial causes.”
日本語訳
「戦争において重要な出来事は、些細な原因から生じる」
解説
この言葉は、戦争という巨大な歴史のうねりの中であっても、きっかけは意外なほど取るに足らない出来事であることが多いという現実を示している。偶発的な誤解、軽率な命令、小さな挑発や個人の感情の爆発が、大規模な戦闘や政変を引き起こすことは歴史上繰り返されてきた。戦争の引き金は常に壮大な理由とは限らないという洞察が、ここには込められている。
カエサルの時代においてもそれは顕著であった。たとえばルビコン川の渡河という歴史的決断も、元老院との権力闘争という構造の中で、最後は一通の命令や一度の会議の空気の変化といった些細な契機によって決定的となった。重要な局面では、小さな判断や偶然の積み重ねが取り返しのつかない流れを生む。
現代においても、ドローンの誤爆やSNS上の発言、外交文書の漏洩といった「些細な出来事」が戦争の火種となる例は後を絶たない。この言葉は、戦争を扱う際には慎重かつ冷静でなければならないという教訓を、冷徹なリアリズムとして語っている。大事を左右するのは、往々にして小事であるという認識は、あらゆる指導者にとって不可欠な自覚である。
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