「いかなる偉大な者も、いくらかの神的霊感なしに偉大となった者はいない」

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。
英文
”No one was ever great without some portion of divine inspiration.”
日本語訳
「いかなる偉大な者も、いくらかの神的霊感なしに偉大となった者はいない」
解説
この言葉は、人間の偉業や卓越性は単なる努力や才能のみでは成し得ないというキケロの信念を示している。彼は、真に偉大な人物には、神意や霊的な啓示といった超越的な要素が加わっていると考えていた。これは古代ローマにおける“神意(divina mens)”の概念と深く結びついており、人間の行為と運命には神の意志が作用するとされていた。
この思想は、詩人や予言者、賢者などが「神の声を聞く者」として扱われた古代の伝統にも通じる。キケロ自身も演説や哲学において、人間の理性は神的なものであり、その最も高貴な発露は神意の導きによると繰り返し述べている。ゆえに、偉大さとは理性と霊感が融合した結果とみなされた。
現代においてもこの言葉は重みを持つ。画期的な発見や芸術作品、あるいは歴史的な指導者の決断には、しばしば説明しきれない閃きや直観が関与しているとされる。スティーブ・ジョブズが語った「直感に従え」という信念や、科学者の夢に現れた理論の着想なども、キケロの語る「神的霊感」の現代的な形と見なすことができる。この言葉は、偉業の背景には常に理性を超えた何かが存在するという普遍的な真理を示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?