「戦争が正当とされるのは二つの場合だけである。第一に、敵の侵略に対して抵抗する場合、第二に、攻撃された同盟国を援助する場合である」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“There are only two cases in which war is just: first, in order to resist the aggression of an enemy, and second, in order to help an ally who has been attacked.”
日本語訳
「戦争が正当とされるのは二つの場合だけである。第一に、敵の侵略に対して抵抗する場合、第二に、攻撃された同盟国を援助する場合である」
解説
この名言は、モンテスキューの国際法と戦争に対する厳格な倫理的立場を示すものであり、戦争の正当性を最小限に限定しようとする原則が明確に表れている。彼は、戦争は例外的かつ防御的な行為であるべきであり、正義の名の下に権力や領土を拡張するための手段として用いられることを厳しく戒めた。つまり、戦争の正当性は「自衛」と「同盟義務の履行」の二つに限られるという国際的規範を明文化している。
この考えは、18世紀の啓蒙思想家としての彼の立場に一致しており、理性と法によって国際関係を秩序づけようとする努力の一環である。モンテスキューは『法の精神』の中でも、戦争は自然状態における極限の行為であり、それを正当化するには明確で限定的な理由が必要であると説いている。この名言は、力ではなく正義が国際秩序を形づくるべきであるという、啓蒙時代の平和主義的理念を端的に表現している。
現代の国際法、特に国連憲章においても、武力の行使は自衛または集団的自衛(同盟国支援)に限定されている点で、モンテスキューの先見的な思想と一致している。この名言は、戦争が正義を掲げて始められることがいかに多いかを踏まえたうえで、それを防ぐための倫理的・法的な制限を明確にすることの重要性を今日にも強く訴える言葉である。正義の名における戦争ではなく、正義の枠の中にしか許されない戦争――それがモンテスキューの指し示す原則である。
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