「カシアス・クレイという名前は、白人が俺の奴隷主に与えた名前だ。今の俺は自由だ。誰のものでもなく、奴隷でもない。だからその白人の名前を返して、美しいアフリカの名前を選んだんだ」

モハメド・アリの名言
モハメド・アリの名言
  • 1942年1月17日~2016年6月3日
  • アメリカ合衆国出身
  • プロボクサー、社会運動家、人道主義者
  • ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。

英文

”Cassius Clay is a name that white people gave to my slave master. Now that I am free, that I don’t belong anymore to anyone, that I’m not a slave anymore, I gave back their white name, and I chose a beautiful African one.”

日本語訳

「カシアス・クレイという名前は、白人が俺の奴隷主に与えた名前だ。今の俺は自由だ。誰のものでもなく、奴隷でもない。だからその白人の名前を返して、美しいアフリカの名前を選んだんだ」

解説

この言葉は、モハメド・アリが自身の改名の理由と、それに込めた人種的・歴史的な意味を明確に語った名言である。彼は「カシアス・クレイ」という生まれたときの名前を、奴隷制の歴史と白人支配の象徴と見なし、それを否定することで、自らのアイデンティティを再構築しようとした。この発言は、名前というものが単なる呼称ではなく、歴史、誇り、そして自由の象徴であることを深く示している

アリは1964年にネイション・オブ・イスラムに入信し、「モハメド・アリ」というイスラーム名を受け取った。これは信仰の選択であると同時に、黒人としてのルーツに立ち返る政治的・文化的行為でもあった。この名言は、「自分の名を自分で選ぶ」ことが、いかに力強い自己解放の行為であるかを世界に訴えたものとして極めて象徴的である

現代においても、アイデンティティや歴史的背景に根ざした「名前の意味」は多くの人々にとって深いテーマである。アリのこの言葉は、個人の尊厳と歴史的意識がいかに結びつくかを示し、自らの過去と訣別し、誇りある未来を選び取る行為の尊さを教えてくれる。それは、自分の名前を通して新しい自己を定義し直した者だけが語れる、強く、深く、美しい名言である

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