「愛はすべてであり、すべてを与え、そしてすべてを奪う」

- 1813年5月5日~1855年11月11日
- デンマーク出身
- 哲学者、神学者、作家
- 実存主義哲学の先駆者として知られ、「主体的真理」や「信仰の飛躍」といった概念を提唱。個人の内面的な葛藤と信仰の問題を深く掘り下げ、近代思想に大きな影響を与えた。
英文
“Love is all, it gives all, and it takes all.”
日本語訳
「愛はすべてであり、すべてを与え、そしてすべてを奪う」
解説
この言葉は、愛の全的な性質を簡潔に、しかし深く描いている。愛は人生における中心的な力であり、それが与えるものは無限であるが、その代償もまた計り知れない。愛は人に充足と喜びを与えるが、同時に依存や喪失、痛みをもたらす。その双面性こそが、愛の本質を形作っている。
キェルケゴールにとって、愛とは神的・倫理的次元にまで昇華される実存の核心である。それは自己を超えて他者に向かい、無償にして絶対的な贈与であると同時に、自己を捧げる行為でもある。この名言は、愛が人間の持つものすべてを要求し、それを捧げることで初めて成り立つものであるという、厳しくも崇高な理想を示している。
現代においても、恋愛・家族愛・友情・博愛など様々な形の愛が語られるが、そのいずれもが「与えること」と「失うこと」を避けては通れない。たとえば、子を愛する親は、自らの時間・労力・自由を差し出すが、同時にその絆によって傷つくこともある。この言葉は、愛とは取引ではなく自己の全存在を懸ける営みであることを、静かに、しかし力強く語っている。
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