「この長く困難な戦争が終わりを迎えるにあたり、アメリカ国民の皆さんに特別な言葉をお伝えしたい。名誉ある平和へのこだわりを支持し続けてくれた皆さんの揺るがぬ姿勢が、名誉ある平和を可能にしたのです」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“As this long and difficult war ends, I would like to address a few special words to the American people: Your steadfastness in supporting our insistence on peace with honor has made peace with honor possible.”
日本語訳
「この長く困難な戦争が終わりを迎えるにあたり、アメリカ国民の皆さんに特別な言葉をお伝えしたい。名誉ある平和へのこだわりを支持し続けてくれた皆さんの揺るがぬ姿勢が、名誉ある平和を可能にしたのです」
解説
この発言は、1973年、ベトナム戦争の終結に際してリチャード・ニクソンがアメリカ国民に向けて語った、感謝と正当化を込めたメッセージである。長引く戦争への国内外の批判が高まる中、ニクソンは「peace with honor(名誉ある平和)」という表現を繰り返し用い、単なる撤退ではなく、国家の威信と正義を保った形での終戦を強調した。
この中で重要なのは、「steadfastness(揺るぎなさ)」と「peace with honor(名誉ある平和)」という二つの概念である。国民の辛抱と支持があったからこそ、屈辱的な降伏ではなく、自らの条件を貫いた形での終戦が実現できたという構図が描かれている。つまり、戦争の成果は政府の努力だけでなく、国民の意志の強さに支えられているというメッセージでもある。
この名言は、現代においても、戦争や紛争の出口戦略において「名誉」と「現実」のバランスをいかに取るかという問題に通じている。ニクソンのこの発言は、戦争を終えるという決断が単なる軍事的撤退ではなく、国家としての誇りと民意の結晶であるという視点を示す名言であり、国民と指導者の関係を象徴する歴史的な言葉である。
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