「親が子を思う心よりもさらに深いのが本当の親心だが、今日の便りを子はどのように受け取るのだろうか」

- 1830年9月20日~1859年11月21日
- 日本(江戸時代・長州藩)出身
- 思想家、教育者、尊王攘夷運動家
- 松下村塾を開いて多くの志士を育成し、明治維新の精神的指導者として知られる。積極的な海外進出と国家改革を訴え、幕末日本の近代化に大きな影響を与えた。志半ばで処刑されるも、その思想は後世に受け継がれた。
原文
「親の思ふこころにまさる親ごころけふの音づれ何ときくらん」
現代語訳
「親が子を思う心よりもさらに深いのが本当の親心だが、今日の便りを子はどのように受け取るのだろうか」
解説
この言葉は、吉田松陰が親心の深さと、子に対する尽きぬ思慕を詠んだものである。親が子を案ずる気持ちは、子が想像する以上に深く、無償の愛に満ちていることを強調しつつ、その親心が今日伝えた便りにどのように受け止められるのかを案じている。幕末、囚われの身となった松陰が、自らの運命と家族への想いを重ね合わせて詠んだと考えられ、痛切な親子の情愛がにじみ出ている。
現代においても、この感情は非常に普遍的である。親の思いは、子どもが成人してもなお絶えることがなく、子が気づかないほど深く細やかである。だが、その想いが正しく伝わるとは限らないため、親は時に不安と願いを込めて子を見守る。松陰のこの一句は、親子の間に横たわる見えない情感の深さと、そのすれ違いの切なさを静かに物語っている。
例えば、進路や生き方に悩む若者に対して、親は干渉せずとも陰からひたすら子の幸福を願っている。しかし、子はそれを重荷と感じることもあるだろう。このように、吉田松陰は、親の心は子の想像を超えて深く、静かに子を包んでいるという人間の本質的な情愛を、簡潔かつ力強く詠み上げたのである。
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