「世の中に人材がいないことを憂うべきではない。人材を活かさないことを憂うべきである。広い識見と優れた才気を持つ人物が現れてこそ、多くの人材も初めてその力を発揮できるのである」

- 1830年9月20日~1859年11月21日
- 日本(江戸時代・長州藩)出身
- 思想家、教育者、尊王攘夷運動家
- 松下村塾を開いて多くの志士を育成し、明治維新の精神的指導者として知られる。積極的な海外進出と国家改革を訴え、幕末日本の近代化に大きな影響を与えた。志半ばで処刑されるも、その思想は後世に受け継がれた。
原文
「世に材なきを憂えず。その材を用いざるを患う。大識見・大才気の人を待ちて、群材始めてこれが用をなす」
現代語訳
「世の中に人材がいないことを憂うべきではない。人材を活かさないことを憂うべきである。広い識見と優れた才気を持つ人物が現れてこそ、多くの人材も初めてその力を発揮できるのである」
解説
この言葉は、吉田松陰が人材登用と指導者の役割について説いたものである。世に優れた人材が存在しないことを嘆くのではなく、存在する人材を正しく活かせていない現状こそを問題視すべきだとする。さらに、群材――すなわち多くの人材は、卓越した識見と才覚を持つリーダーが現れて初めて、その力を発揮できると述べ、指導者の資質の重要性を強調している。
現代においても、この指摘はきわめて鋭い。組織や国家の停滞を、単に人材不足のせいにするのではなく、既にいる人材をいかに見出し、適材適所に配置し、育てるかが問われている。人を活かす力量を持つリーダーの存在が、組織全体の活性化に直結するのである。
例えば、優れた技術者がいても、指導者が彼らの能力を理解せず、活かす機会を与えなければ、組織は停滞する。逆に、リーダーが適切に支援と方向性を与えれば、埋もれていた人材も大きな成果を生む。吉田松陰は、人材の有無ではなく、指導者の力量こそが社会の興隆を左右すると力強く訴えているのである。
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