「法律は生活の一部であって、しかもそれが存在の理由としては、全体を生かすもので無ければなりません」

- 1878年12月7日~1942年5月29日
- 日本出身
- 歌人、作家、思想家
原文
「法律は生活の一部であって、しかもそれが存在の理由としては、全体を生かすもので無ければなりません」
解説
この言葉は、法律の役割と目的を本質的に捉えた指摘である。与謝野晶子は、法律は人間生活全体を規定するものではなく、その一部を担う存在であると述べている。そして、その存在意義は、社会全体の調和と人間の幸福を支えることにあると強調する。つまり、法律が形式や権威を保つためだけに存在するのではなく、人間の生活を豊かにし、生きやすくすることが本来の使命だという視点である。
この考えは、明治・大正期における急速な法制度の整備を背景に理解できる。当時、日本は西洋の法体系を導入し、近代国家としての法治主義を確立しようとしていたが、その過程で、法律が人間生活の実態や個人の自由を無視し、形式に偏る危険性があった。晶子の言葉は、法律を人間中心の視点で捉え直すことの重要性を訴える先見的な思想である。
現代においても、この名言は深い意味を持つ。例えば、複雑化する社会で、法律が人々の生活実態から乖離すると、不平等や不信感を生み出す。法律は手段であり、目的は人間の福祉と社会全体の健全な発展であるという原則は、デジタル時代や国際社会の中でも変わらない。この言葉は、法と倫理の調和、実効性のある法制度の構築を考える上で、今なお有効な指針を示しているのである。
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