「君死にたまふことなかれ」

- 1878年12月7日~1942年5月29日
- 日本出身
- 歌人、作家、思想家
原文
「君死にたまふことなかれ」
解説
この言葉は、日露戦争の最中に書かれた与謝野晶子の反戦詩に由来する。「君」とは実弟を指し、戦場で命を落とすことを強く拒む祈りの言葉である。当時の日本は国家総動員体制の中で、戦争を美化する風潮が強く、兵士の死を「名誉」とする価値観が支配していた。その中で、この詩は個人の生命の尊厳を訴え、国家主義への批判を込めた革新的な表現であった。
この言葉には、単なる肉親への情愛を超えて、戦争という制度に対する抗議の精神が宿っている。晶子は、女性としての立場から「母」や「姉」の視点で、命の尊さを語り、国家のために死ぬことを拒否する思想を世に示した。この姿勢は、当時の社会に大きな衝撃を与え、賛否両論を巻き起こしたが、近代日本文学史上、画期的な反戦の言葉と評価される。
現代においても、この言葉は深い意味を持つ。戦争だけでなく、組織や社会の名のもとに個人が犠牲になることへの警鐘として読むことができる。例えば、過労死や過度な同調圧力により命を失う現象に対しても、「君死にたまふことなかれ」という言葉は強いメッセージを放ち続けているのである。
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