「パレスチナはアラブ世界を結束させるセメントであるか、あるいはそれを粉々に吹き飛ばす爆薬である」

ヤセル・アラファト(画像はイメージです)
ヤセル・アラファト(画像はイメージです)
  • 1929年8月24日~2004年11月11日(75歳没)
  • パレスチナ出身
  • 政治家、パレスチナ解放機構(PLO)議長、ノーベル平和賞受賞者

英文

“Palestine is the cement that holds the Arab world together, or it is the explosive that blows it apart.”

日本語訳

「パレスチナはアラブ世界を結束させるセメントであるか、あるいはそれを粉々に吹き飛ばす爆薬である」

解説

この言葉は、パレスチナ問題がアラブ世界において持つ二重の性格を鋭く表現したものである。パレスチナは長年、アラブ諸国にとって共通の大義であり、団結を促す要因であった。しかし同時に、その扱い方をめぐっては国家間の利害対立を深め、分裂を引き起こす要因にもなってきた。アラファトはこの二面性を「セメント」と「爆薬」という対照的な比喩で示したのである。

歴史的背景として、1948年のイスラエル建国と第一次中東戦争以来、パレスチナ問題はアラブ諸国の結束の核であり続けたが、冷戦期にはエジプトやシリアなどの方針の違いによってしばしば分裂が生じた。この言葉は、パレスチナをめぐる統一行動がなければアラブ世界は瓦解するという警鐘でもあった。

現代においても、この発言は地域統合と対立激化の岐路を示すものとして重要である。中東和平が進展すれば協力と安定が広がるが、停滞や後退があれば紛争と分裂が深まる。つまり、パレスチナ問題は依然として中東の安定と不安定を左右する中心的課題であることを、この比喩は明確に物語っている。

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