「空気用のプロペラに関するデータは存在していなかったが、海用のプロペラであれば効率50%を得ることは難しくないと常々理解していた」

ウィルバー・ライト
- 1867年4月16日~1912年5月30日
- アメリカ合衆国出身
- 発明家、航空技術者、起業家
- 弟オーヴィル・ライトと共に人類初の動力飛行機による有人飛行に成功し、航空時代の幕を開いた。
オーヴィル・ライト
- 1871年8月19日~1948年1月30日
- アメリカ合衆国出身
- 発明家、航空技術者、起業家
- 兄ウィルバー・ライトと共に人類初の動力飛行機による有人飛行を達成し、航空時代の幕を開いた。
英文
“No data on air propellers was available, but we had always understood that it was not a difficult matter to secure an efficiency of 50% with marine propellers.”
日本語訳
「空気用のプロペラに関するデータは存在していなかったが、海用のプロペラであれば効率50%を得ることは難しくないと常々理解していた」
解説
この言葉は、未知の技術分野に挑む際に過去の知見を援用しようとする姿勢を示している。飛行機用のプロペラは20世紀初頭にはまったく研究されておらず、ライト兄弟は船舶用プロペラの原理を参考にしながら、空気中での推進力を生む装置の開発に取り組んだ。このように、データが乏しい中で他分野の理論や実例に基づいて仮説を立てる方法論は、科学的探究の基本である。
注目すべきは、彼らが海用プロペラの「50%の効率」を「常識」として受け入れていた点である。これは、彼らの出発点がすでに一定の理論的認識に基づいていたことを示しており、単なる実験的飛行ではなかったことを物語る。事実、ライト兄弟はこの分野においても独自の風洞実験を通じて空中推進の理論を深め、最終的には当時としては驚異的な効率の空気プロペラを設計することに成功した。
現代においても、新分野の技術開発では「類似原理の応用」が重要な出発点となる。たとえばドローン技術や水中探査機の推進システムなどでは、異なる環境における力学の応用が求められる。この名言は、既存知識に依拠しながら未知に挑む合理的精神の象徴として今なお有効である。
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