「何が十分であるかは、十分を超えるものを知らなければ決して分からない」

- 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
- イギリス出身
- 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家
英文
”You never know what is enough unless you know what is more than enough.”
日本語訳
「何が十分であるかは、十分を超えるものを知らなければ決して分からない」
解説
この言葉は、限度や適度を理解するには、まずそれを超える経験が必要であるという逆説的真理を表している。ブレイクにとって「十分」とは理性で抽象的に定められるものではなく、過剰を体験して初めて実感として把握できるものだった。つまり、節度は放縦の対極としてのみ成立するという思想である。
この考え方は、彼の「対立の哲学」と深く結びついている。18世紀末の社会では理性による節制や秩序が美徳とされたが、ブレイクはそれを批判し、過剰と不足、善と悪、理性と情熱といった相反するものの中に真理が宿ると考えた。限度を知るためには、一度その枠を超えてみることが不可欠だという視点は、彼の詩と芸術に一貫して現れる。
現代においても、この言葉は大きな示唆を持つ。例えば、労働や消費において「ちょうどよい量」を見極めるには、一度は過剰を経験して失敗しなければならないことが多い。人間関係や創作活動においても同様であり、限界を超える挑戦が、適度な境地を理解するための土台となる。ブレイクの言葉は、経験を通してしか真の「適度」は学べないという普遍的な真理を鋭く語っている。
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