「この世界において、いわゆる道徳的美徳なくして自由は得られない。そしてまた、いわゆる道徳的美徳を維持するには、それを憎む人類の半分を奴隷にすることなくしてはならない」

- 1757年11月28日~1827年8月12日(69歳没)
- イギリス出身
- 詩人、画家、銅版画職人、神秘主義思想家
英文
”You cannot have Liberty in this world without what you call Moral Virtue, and you cannot have Moral Virtue without the slavery of that half of the human race who hate what you call Moral Virtue.”
日本語訳
「この世界において、いわゆる道徳的美徳なくして自由は得られない。そしてまた、いわゆる道徳的美徳を維持するには、それを憎む人類の半分を奴隷にすることなくしてはならない」
解説
この言葉は、自由と道徳、そして抑圧の相互関係を鋭く突いた逆説的な指摘である。ブレイクは、自由は道徳的秩序の上に成り立つとしながらも、その秩序を保つためには必然的にそれに反する者を抑圧する仕組みが働くと語る。つまり、自由と美徳の名の下に隠された暴力や支配の構造を暴露しているのである。
この思想は、18世紀末から19世紀初頭のイギリス社会や政治状況とも深く関わる。当時、道徳や宗教が社会統治の道具として用いられ、反抗的な思想や行動はしばしば「非道徳的」として排斥された。ブレイクはこの構造に疑念を抱き、美徳や自由という理想が現実には他者の抑圧を伴うことを批判したのである。
現代においても、この名言は強い示唆を持つ。国家や社会が「自由」や「道徳」を掲げるとき、それがしばしば異なる価値観や反対者を排除する手段となっていないかを問う必要がある。例えば、道徳的規範を強調する社会では、少数派や異端の存在が抑圧される危険がある。この言葉は、自由と道徳の関係を再考し、真の意味での解放がいかに困難であるかを警告するものである。
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