「ここでの言語の問題は実に深刻である。我々は原子の構造について何らかの形で語りたいと思う。しかし、我々は原子について日常の言葉で語ることはできない」

- 1901年12月5日~1976年2月1日(74歳没)
- ドイツ出身
- 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
英文
”The problems of language here are really serious. We wish to speak in some way about the structure of the atoms. But we cannot speak about atoms in ordinary language.”
日本語訳
「ここでの言語の問題は実に深刻である。我々は原子の構造について何らかの形で語りたいと思う。しかし、我々は原子について日常の言葉で語ることはできない」
解説
この言葉は、量子力学における言語の限界を端的に示している。原子や素粒子の世界は、人間の感覚や日常的な経験を超えた領域に属しているため、それを直接に表現できる言葉を我々は持たない。したがって、科学者はアナロジーや数式を用いて説明せざるを得ないが、それでも完全な理解を日常言語で伝えることは困難である。
ハイゼンベルクの時代、電子を「粒子」と呼ぶか「波」と呼ぶかといった問題は、単なる表現の違いではなく、言語が現実をどう捉えるかという根源的な問いを引き起こした。言葉は思考を支える道具であると同時に、その枠組みに縛られる制約ともなる。彼の指摘は、物理学だけでなく哲学的な問題意識も含んでいる。
現代においても、AIや量子コンピュータなど最先端の技術を語る際に、日常言語では捉えきれない現象をどのように説明するかという問題は続いている。比喩や専門用語に頼りながらも、その限界を自覚することが重要である。ハイゼンベルクの言葉は、科学と言語の間に横たわる永遠の課題を鋭く突きつけているのである。
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