「自然科学は単に自然を記述し説明するだけではなく、自然と我々との相互作用の一部なのである」

ヴェルナー・ハイゼンベルク(画像はイメージです)
ヴェルナー・ハイゼンベルク(画像はイメージです)
  • 1901年12月5日~1976年2月1日(74歳没)
  • ドイツ出身
  • 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者

英文

”Natural science, does not simply describe and explain nature; it is part of the interplay between nature and ourselves.”

日本語訳

「自然科学は単に自然を記述し説明するだけではなく、自然と我々との相互作用の一部なのである」

解説

この言葉は、自然科学の主体的性格を示している。従来の科学観では、自然は人間から独立した対象であり、科学はそれを客観的に記述する営みだと考えられてきた。しかし量子力学の登場によって、観測者の関与が自然現象に影響を与えることが明らかになり、科学は人間と自然の相互作用の場であるという新しい理解が生まれた。

ハイゼンベルクは不確定性原理を通じて、観測が単なる「観察」ではなく、対象のあり方を規定する要素であることを示した。つまり、自然科学は人間の問いかけや方法論と切り離せず、その営み自体が自然の一部を形づくっている。科学は鏡のように自然を映すのではなく、人間と自然の対話として進展するという視点である。

現代においても、この洞察は広く通用する。環境問題やAI研究のように、科学は自然や社会に介入し、その過程自体が新たな現実を生み出す。したがって、自然科学は客観的な観察にとどまらず、人間の行為と自然の反応のダイナミックな相互作用の中に存在する。この言葉は、科学の本質を理解するうえで極めて重要な指摘である。

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