「かつてはカップ一杯分だけ投与されていた経済の特効薬が、最近では樽単位でばらまかれている。このかつて考えられなかった量の投与は、ほぼ確実に好ましくない副作用をもたらすだろう。その正確な形は誰にも分からないが、インフレの猛襲は起こりうる結果の一つだ」

ウォーレン・バフェットの名言
  • 1930年8月30日~
  • アメリカ合衆国出身
  • 投資家、実業家、慈善家
  • 「オマハの賢人」と称され、長期的価値投資を実践して巨大投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる。世界有数の富豪でありながら質素な生活を貫き、近年は資産の大部分を慈善活動に寄付することを誓っている。現代を代表する投資家として世界的に知られている。

英文

“Economic medicine that was previously meted out by the cupful has recently been dispensed by the barrel. These once unthinkable dosages will almost certainly bring on unwelcome after-effects. Their precise nature is anyone’s guess, though one likely consequence is an onslaught of inflation”

日本語訳

「かつてはカップ一杯分だけ投与されていた経済の特効薬が、最近では樽単位でばらまかれている。このかつて考えられなかった量の投与は、ほぼ確実に好ましくない副作用をもたらすだろう。その正確な形は誰にも分からないが、インフレの猛襲は起こりうる結果の一つだ」

解説

この言葉は、過剰な経済刺激策が将来的な副作用を引き起こす危険性を警告している。バフェットは、かつて慎重に用いられていた政策手段が、危機時に無制限に大量投入されるようになった現状に懸念を示している。特に、インフレという予期せぬ結果が生じる可能性を指摘し、短期的な景気回復のための薬が、長期的な病を生む恐れがあることを強調している。

この名言は、2008年の金融危機以降の米国経済政策を背景にしている。当時、連邦政府とFRBは、史上例を見ない規模で金融緩和と財政出動を行った。バフェットは、その緊急対応を理解しながらも、大量の資金供給と借金の積み上げが経済にどのような副作用をもたらすかは未知数であり、特にインフレが大きなリスクとなりうると冷静に見ていた。

具体例として、近年ではパンデミック後の急速なインフレが、バフェットの予見を裏付ける現象となった。各国政府が異例の規模で景気対策を実施した結果、需要過多と供給制約が重なり、物価上昇が加速した。危機時の応急処置には必ず代償が伴うこと、そしてそれに備えた慎重な姿勢が必要であることを、この名言は鋭く示している。

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