「最も汚らわしい本とは、削除された本である」

ウォルト・ホイットマンの名言・格言・警句
ウォルト・ホイットマンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1819年5月31日~1892年3月26日
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、随筆家、ジャーナリスト

英文

”The dirtiest book of all is the expurgated book.”

日本語訳

「最も汚らわしい本とは、削除された本である」

解説

この言葉は、表現を検閲や改ざんによって浄化しようとする行為こそが最も不誠実で醜いという批判を示している。内容を「不適切」とみなし削除することは、むしろ本来の意図を歪め、虚偽を生み出す行為であり、それが本を真に「汚す」ことにつながる。ホイットマンは、ありのままの表現こそが尊重されるべきであり、抑圧や偽装こそが害悪であると強調している。

この発想は、『草の葉』をめぐる当時の状況と深く関係している。ホイットマンの詩は性や身体を賛美する表現を含んでいたため、しばしば「わいせつ」と批判され、出版禁止や修正を迫られた。彼はその経験を通じ、人間の真実を隠そうとする検閲こそが最も不道徳であると確信したのである。

現代においても、この言葉は表現の自由に関する重要な示唆を与える。表現を削除することで「きれい」に見せかけても、そこには虚偽や不誠実が生まれる。文学や芸術の価値は不都合な真実を含むからこそ存在し、そこにこそ人間理解の深さがある。ホイットマンの言葉は、表現を隠すことの危険性と、真実を丸ごと受け止める勇気の必要性を鋭く指摘しているのである。

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