「あのオランダ人たちには、想像力や空想はほとんどなかった。だが彼らの優れた趣味と、構図における科学的な知識は圧倒的だった」

フィンセント・ファン・ゴッホの名言
フィンセント・ファン・ゴッホの名言
  • 1853年3月30日~1890年7月29日
  • オランダ出身
  • 画家、素描家
  • ポスト印象派を代表する画家として知られ、生前は無名であったが、死後に評価が高まり、近代絵画に多大な影響を与えた。『ひまわり』や『星月夜』などの作品で世界的に知られている。

英文

”Those Dutchmen had hardly any imagination or fantasy, but their good taste and their scientific knowledge of composition were enormous.”

日本語訳

「あのオランダ人たちには、想像力や空想はほとんどなかった。だが彼らの優れた趣味と、構図における科学的な知識は圧倒的だった」

解説

この言葉は、過去の芸術家たち――ここでは特にオランダ絵画の伝統を担った画家たち――に対する一種の批評と賛辞を兼ね備えた視点を表している。彼らは自由な想像力に乏しかったとしつつも、洗練された美意識と構成の厳密さにおいては非常に高い水準にあったと評価している。これは、感性と技術、空想と規律の間にある芸術的バランスの問題を示している。

この発言にある「オランダ人たち」とは、たとえばレンブラントやフェルメール、ファン・アイクといった写実的かつ構図に厳格な画家たちを指していると考えられる。彼らの作品には宗教性や寓意よりも、日常や光の描写、人物の佇まいといった「現実の美」への精密な観察と再構築が見られる。ゴッホはこれをリスペクトしつつも、より感情的・幻想的なアプローチを自らの道として選んだのである。

この名言は、現代においても創作活動における「構築の理性」と「ひらめきの感性」の対立や融合を考えるうえで重要な示唆を与える。技術に偏れば作品は冷たくなり、想像力に傾けば構成が崩れる危険がある。真に印象深い芸術とは、この二つの要素の絶妙なバランスによって生まれるものである。そして、ゴッホはその狭間であえて「感情と衝動」の側に身を投じた画家であった。

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