「鷹狩や猪狩などを娯楽だと思うのは大きな間違いである。これは人員を使いこなすための試みなのである」

- 1684年11月27日~1751年7月12日
- 日本出身
- 江戸幕府第8代将軍
原文
「鷹野・猪狩等を慰と心得候ては甚相違の事なり。人数を遣ひ覚ゆる試のためなり」
現代語訳
「鷹狩や猪狩などを娯楽だと思うのは大きな間違いである。これは人員を使いこなすための試みなのである」
解説
この言葉は、為政者にとっての遊興と実務の境界を明確にする教えである。江戸時代の将軍や大名が行う鷹狩や猪狩は、一見すると贅沢な娯楽に見えるが、徳川吉宗はこれを単なる楽しみと考えることを戒めている。実際には、部下を指揮し、組織を動かす能力を養う実地訓練という意味があった。広大な野外での狩猟には、多くの人員配置や役割分担が必要であり、これを通じて指揮命令系統の確認や、部下の働きぶりを観察する機会ともなったのである。
現代に置き換えると、この考えは「見かけは遊びでも、本質は訓練や人材育成である」という発想につながる。たとえば、企業における社員旅行やスポーツイベント、チームビルディング研修なども、表面的にはレクリエーションだが、実際には組織の連携やリーダーシップを確認する場として機能している。吉宗の言葉は、表面的な楽しさに惑わされず、その背後にある目的を理解することの重要性を示しているのである。
この名言はまた、リーダーに求められる視点を明確にしている。上に立つ者は、自分の行動が周囲に与える影響を自覚し、無駄な贅沢や娯楽と誤解されないよう、常に合理的な目的を持つべきである。現代でも、トップが行う施策やイベントが「無駄」と見なされるか、「戦略」と評価されるかは、その背景にある意図次第である。この教えは、権力を持つ者の責任と行動原理を鋭く示したものである。
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