「この世に恐ろしいものはない。ただ、人ほど恐ろしいものはない。身分の高い者も低い者も、決して心を許してはならない」

- 1684年11月27日~1751年7月12日
- 日本出身
- 江戸幕府第8代将軍
原文
「世の中におそろしき物とてはこれ無く候。只人程おそろしき者なし。貴賤ともに心をゆるし申間敷候」
現代語訳
「この世に恐ろしいものはない。ただ、人ほど恐ろしいものはない。身分の高い者も低い者も、決して心を許してはならない」
解説
この言葉は、人間こそが最も恐ろしい存在であるという鋭い洞察を示している。江戸時代の将軍として権力を握った徳川吉宗は、多くの人間関係を経験し、陰謀や裏切りの危険を知り尽くしていた。自然災害や獣などの脅威よりも、人間の欲望や策略こそが、最も予測できず、危険であると認識していたのである。この背景には、権力の座にある者にとって、側近や家臣の裏切り、派閥争いが常に死命を制する要因であったという現実がある。
現代においても、この考えは十分に通用する。企業や政治の世界では、人間関係のもつれや利害の衝突が、最大のリスクとなる。たとえば、大企業の不祥事や国家間の対立の背後には、個人の欲望や野心が複雑に絡み合っている。さらに、日常生活においても、詐欺や裏切りは自然災害以上に深刻な被害をもたらすことがある。この言葉は、信頼と警戒のバランスを取ることの重要性を教えているのである。
また、この名言には、人間の本質に対する冷徹な現実主義がにじんでいる。すべての人を疑えという意味ではなく、安易に心を許し、警戒を解くことの危険を示唆しているのである。現代の組織や人間関係においても、過度な信頼や依存はリスクを伴う。この教えは、他者を理解しつつも、一定の距離感と警戒心を持つことが、自己防衛と安定した関係構築の鍵であることを示している。
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