「大した罪もないのに取り上げたり、または許したりするのは、水底にある朽ちた縄を熊手で引き上げて見せるようなものだ。ただ騒動を好むということにすぎない」

- 1684年11月27日~1751年7月12日
- 日本出身
- 江戸幕府第8代将軍
原文
「さしたる科もこれ無きに取上、又はさし免候ては、水底にある朽縄を熊手にて引上見候様成るべし。只騒動を好と云ものなり」
現代語訳
「大した罪もないのに取り上げたり、または許したりするのは、水底にある朽ちた縄を熊手で引き上げて見せるようなものだ。ただ騒動を好むということにすぎない」
解説
この言葉は、不必要な問題をわざと作り出し、無意味な騒動を起こすことへの批判を示している。徳川吉宗の治世である江戸中期は、享保の改革による倹約や法整備が進められた時代であり、秩序と安定が政治の重要課題であった。その中で、役人や周囲の人々が実際には大きな過失のない事柄を騒ぎ立てる行為は、社会秩序を乱し、無駄な労力を費やすだけであった。この名言は、そのような行為を「水底の朽縄を熊手で引き上げる」という比喩で表現し、無益さを鋭く指摘しているのである。
現代においても、この考えは大いに適用できる。SNSやメディアで、些細な言動を過剰に取り上げ、炎上させる現象は典型的な例である。実害のないことを騒ぎ立てるのは、問題解決ではなく「騒動そのものを楽しんでいる」に過ぎないという批判は、現代社会にも通じる重要な指摘である。企業や組織でも、不要なトラブルや過度な責任追及は生産性を損なうだけであり、本質的な課題解決にはならない。
この名言は、騒動や対立を作ることで自分の存在感を示そうとする態度を戒める教えである。重要なのは、問題を正しく見極め、本当に社会や組織に必要な行動を取ることである。私たちはこの言葉を通じて、無意味な騒ぎに巻き込まれず、冷静さと判断力を持って行動することの大切さを学ぶべきである。
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