「主人と奴隷との関係全体は、一方には荒々しい情念と絶え間ない専制が、他方には屈辱的な服従が常に行われる場である。私たちの子どもたちはこれを目にし、それを真似るようになる」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

”The whole commerce between master and slave is a perpetual exercise of the most boisterous passions, the most unremitting despotism on the one part, and degrading submissions on the other. Our children see this, and learn to imitate it.”

日本語訳

「主人と奴隷との関係全体は、一方には荒々しい情念と絶え間ない専制が、他方には屈辱的な服従が常に行われる場である。私たちの子どもたちはこれを目にし、それを真似るようになる」

解説

この名言は、奴隷制度がもたらす道徳的腐敗と社会的影響の深刻さを、鋭く告発する一文である。ジェファーソンは、奴隷制が単に経済的・制度的な問題にとどまらず、人間性そのものをゆがめる構造であることを認識していた。ここでは、支配する者が情緒を抑えず専制に走り、支配される者が人格を押し殺して従属するという非対称な関係が、日常的に繰り返されている様が描かれている。

特に注目すべきは、「子どもたちはそれを見て学ぶ」という指摘である。これは、奴隷制が個人の倫理を破壊するだけでなく、世代を超えて悪習と不正義を再生産する構造的問題であることを示している。ジェファーソンは奴隷所有者でもあったが、同時にその制度の道徳的矛盾と国民教育への悪影響を深く憂慮していた

現代においても、この言葉は不正義の構造がいかに日常に組み込まれ、無意識のうちに次世代に受け継がれていくかを考えさせる重要な警句となる。教育とは単に知識を教えることではなく、環境と行動の中で価値観を継承することである。その意味で、ジェファーソンのこの名言は、社会の不平等や差別の根を断つには「見せる現実」から変えねばならないという普遍的な教訓を我々に突きつけている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「トーマス・ジェファーソン」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る