「人は自らを統治するには信用できないと言われることがある。ならば、どうして他人を統治することができようか? あるいは、人を統治するために、王の姿をした天使を我々は見出したというのか?――この問いには、歴史に答えさせよう」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

”Sometimes it is said that man cannot be trusted with the government of himself. Can he, then be trusted with the government of others? Or have we found angels in the form of kings to govern him? Let history answer this question.”

日本語訳

「人は自らを統治するには信用できないと言われることがある。ならば、どうして他人を統治することができようか? あるいは、人を統治するために、王の姿をした天使を我々は見出したというのか?――この問いには、歴史に答えさせよう」

解説

この名言は、民主主義の正当性と専制政治への根源的な批判を鋭く突きつけるジェファーソンの代表的な政治哲学の一節である。人間は不完全であるがゆえに、自らを統治するに値しないという意見に対し、それならば他人がその人間を支配できるという理屈はさらに信用ならないと彼は反論している。

特に注目すべきは、「王の姿をした天使」という表現である。これは、いかなる支配者も人間であり、神聖化されるべき存在ではないという啓蒙主義的な視点を象徴している。ジェファーソンは、権力者に絶対的な徳を期待するよりも、すべての市民に分散された統治こそが現実的かつ倫理的であると信じていた。

この言葉は現代においても、政治的エリート主義や権威主義的な統治に対する強力なアンチテーゼとなっている。民主主義にはリスクがあるが、それでもなお、自由で平等な人々が自らの責任で統治する仕組みの方が、少数の「選ばれた」者による支配よりも健全である。この名言は、統治の正当性とは、完璧な支配者の出現ではなく、歴史に学び、自ら選び、自らを律することにこそあるという力強い理念を示している。

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