「実のところ、礼儀正しさとは人工的な朗らかさであり、生来それを欠く人間の欠点を覆い隠し、やがては本物の美徳にほぼ等しい習慣として定着する」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

”In truth, politeness is artificial good humor, it covers the natural want of it, and ends by rendering habitual a substitute nearly equivalent to the real virtue.”

日本語訳

「実のところ、礼儀正しさとは人工的な朗らかさであり、生来それを欠く人間の欠点を覆い隠し、やがては本物の美徳にほぼ等しい習慣として定着する」

解説

この名言は、礼儀というものの本質を、偽善ではなく「習慣による徳の代替」として肯定的に捉えた洞察に満ちた一文である。ジェファーソンは、礼儀が生まれつきの優しさや善意から来るものではなくとも、それを繰り返すことで、やがて本物の徳に近づいていくと述べている。

この考えは、アリストテレスの倫理思想とも共鳴しており、「行為の繰り返しが人格を形成する」という道徳哲学の伝統を背景に持つ。つまり、人は本質的に朗らかでなくても、礼儀正しく振る舞うことを習慣づければ、その態度が次第に内面にも影響を与え、真の徳へと変わっていく。ここには、人間の可塑性と教育の力への深い信頼がある。

現代においても、対人関係や職場でのマナー、社会的儀礼の価値が議論される中で、礼儀が「偽物」ではなく「本物に近づくための訓練」であるというこの言葉は、礼儀の意義を見直すきっかけを与えてくれる形式は中身に先立ち、習慣は人格を形作る――礼儀を軽視せず、むしろ内面を整える第一歩と見る視点が、この名言に込められている

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